時間どろぼう [ひとりごと]
久しぶりに「モモ」を観た。
この映画を映画館で観たのはいつだったろうか。確かまだ学生だった。バイトやサークルで割と忙しかったけど、それでも時間はうなるほどあったような気がする。
映画の原作であるエンデの「モモと時間どろぼう」に出会ったのは、高校の図書館だった。日がな一日窓の外を眺めて暮らしていた、幸福な時代。
あの頃、私はモモだった。
今、毎朝子どもに「早くしなさい!」と言わない日は、無い。着替え、食事、歯磨きetc……。
3歳の時間はゆっくり流れる。
歯磨きひとつとっても、口の端から水をたらりと流したり、勢い良く吐き出したりしては、水の行方を眺めている。
そんな風にゆっくり流れる時間を、私の言葉が断ち切ってしまう。
「早くしないと、幼稚園バス行っちゃうよ!」
ほとんど脅しである。
いつの間にか私は、時間どろぼうになっていたのだ。